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2014−15シーズン トップ14チーム展望 –カストル・オランピック–

2014/08/13

 トップ14の優等生。人口4万2000人程のミディ・ピレネーの田舎町を本拠地とし、クラブの年間予算はリーグでも9番目と多くないにも関わらず、長期的視野に立ったチーム作りで一昨年のシーズンはトップ14優勝、昨シーズンもレギュラーシーズン6位ながらプレーオフでは決勝まで進出。地味なチームカラーながら今や強豪の一角に数えられるまでになったカストル。今シーズンは、ブレニュス盾と第1回目となるヨーロッパラグビーチャンピオンズカップの初代王者を目指しての戦いとなる。

 

 「当然もう一度決勝の舞台を味わいたい。たとえ毎年奇跡を起こすことは無理だとわかっていてもね。もしプレーオフのファーストステージをホームで迎えられれば上出来(レギュラーシーズン3位か4位)。確かなことは、かなりの野心に溢れているってことだよ」とテクニカルディレクターのマティアス・ロランが言えば、昨シーズンを肩の怪我でほとんど棒に振ったウィングのロマン・マルシアルも「今年はトップ14も欧州カップも両方狙う」とその目標をはっきりと口にする。

 

 昨シーズンから指揮を執るセルジュ・ミラスとダヴィッド・ダリカレールのコンビが目指すラグビーを、2年目に入り選手もより理解してきており、「選手ができるだけ動いてボールも大きく動かして、接点では身体を張って、たくさん走って可能な限りアタックする意思と情熱を持つこと。その我々の信条は変わらないよ」とダリカレールは目指すラグビーを説明する。

 

 プレシーズンマッチでは2勝1敗ながら随所にカストルらしいプレーを見せ、いい仕上がりを見せているが、ダリカレールは「明日はまた別の日だ。当然、2週間後は同じような試合にはならないよ」と、トップ14開幕と同じカードとなった2週間前のスタッド・フランセとのプレシーズンマッチでの勝利の後に語っており、浮かれる様子はない。

 

 いい選手が出てくれば裕福な強豪どころにさらわれてしまうという中堅クラブの悲哀を毎年のように味わっているクラブは、今年のメルカートも例に漏れず、共にフランス代表のナンバーエイトアントニー・クラッセンとフルバックのブリス・デュランを一昨季までカストルで5シーズンに渡って監督を務めていたローラン・ラビットとローラン・トラヴェールのラシンメトロに引き抜かれた。それでも身の丈にあった補強でその穴を埋めるのもクラブのお得意技。また、今季は「チームの殻を破ってくれる」と元オールブラックのウィング、シチベニ・シビバツをクレルモンから「強奪」。また、トゥーロンとの仮契約を結んでいたロリー・ココットも、クラブが30万ユーロの違約金を払ってまでして放出を阻止。レミ・タレス—ロリー・ココットという将来のフランス代表ハーフ団(?)をしっかりとキープし、デュランの抜けたフルバックは今年のシックスネイションズの合宿にも呼ばれた23歳の新星ジョフレー・パリスが控えている。去年大ブレークを果たしたセンターのレミ・ラムラはフランス代表の30人のプレセレクションリストに入っており、今年は更なる期待がかかる。2年目となるスコットランド代表の金髪ロックリッチー・グレイも去年以上にトップ14のラグビーに慣れてきており、ここ数年チームを支える選手の契約も更新され、選手の名声では劣っても堅固なチームの土台変わらない。

 

 昨シーズンはトップ14で唯一、ホーム無敗を誇りながらアウェーでなかなかポイントを稼げずに最終節までプレーオフ進出を決められなかったカストル。「もっと緻密で効率よく」と昨シーズンの反省を踏まえてダリカレールは選手に注文をつける。そんなコーチに「いつもあと少しだけ足りない」と評されるチーム、足りないあと少しを見つけた先にはタイトルが見えてくる。

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