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2014−15シーズン トップ14チーム展望 –モンペリエ・エロー・ラグビー–

2014/08/17

 後半65分。自陣22m内でボールを拾ったフランソワ・トラン・デュックからボールを受けたレネ・レンジャーがラシンのディフェンス陣を突き破るとフォローに入っていたロベルト・エベルソンにパス、最後はティモシ・ナグサが自慢の快足を飛ばしてトライ。カウンターアタックのお手本のようなトライは間違いなく開幕節のベストトライだった。フッカーのシャルル・ジェリが、前半終了間際のスクラムブレイク直後に相手フッカーにパンチをお見舞いし一発退場。後半40分を14人で戦う羽目になったモンペリエだったが、それで逆に吹っ切れたのか、ジョナタン・ペリシエ、フランソワ・トラン=デュック、レネ・レンジャー、ロベルト・エベルソン、アンソニー・ツイタヴァキ、ティモシ・ナグサ、バンジャマン・ファルと並ぶ自慢のバックスとよく走るフォワードがモンペリエらしいアタッキングラグビーを展開。自陣からでもパスをオープンに繋いで攻め続け1人足りないことを感じさせないプレーを見せたが、最終的なスコアは16−19。試合を通して素晴らしいプレーを見せたトラン=デュックだったが、結局自らが外した比較的簡単な3つのペナルティキックが高くつくことになった。

 

 元フランス代表の名スクラムハーフであるファビアン・ガルティエは、2010年の監督就任以来「ガチガチラグビー」が横行するトップ14の中でひたすらアタッキングラグビーを掲げてチームを作ってきた。バックスラインには爆発力とスピードを兼ね備えてフィジカルも強い南半球出身の選手を揃え、フランス代表スタンドオフのフランソワ・トラン=デュックのタクトで、自陣からのセットプレーやキック処理でも極力タッチに逃げずボールを繋いで大きく展開。危険を冒してもオフロードパスを多用しボールも人も動くラグビーは、専門家やファンの間でもクラブの枠を超えて人気が高い。昨シーズンはレギュラーシーズン2位の成績を残し、当然今年はタイトルを狙うことになる。

 

 「プレシーズンの練習はとても上手くいってるよ。チームのまとまりはいいし、うちはディフェンスでもアタックでも他とは違ったシステムだから時間はかかるけど、若手も新加入選手も上手くチームに馴染んでる」と開幕前に語っていたトラン=デュックにとっては、自身のワールドカップ出場も懸かる新シーズン。「みんな昨シーズンよりいい結果を残したいと思っている。個人としてもチームとしても。去年の結果に関してはやっぱり少しフラストレーションが残ってる。おれたちは全員プロのスポーツ選手で、そのキャリアが短いのはわかってる。今年はみんな勝ちたいと思ってるよ」。

 

 フォワードの柱であったマムカ・ゴルゴゼはトゥーロンに奪われたが、ワラビーズとブランビーズでキャプテンを務めたベン・モーウェンがワールドカップを捨ててモンペリエに加入。15人制では未知の戦力ながら、昨シーズンの7人制のIRB年間最優秀選手に選ばれたフィジーのサミソニ・ヴィリヴィリの獲得にも成功。

 

 「新シーズンの難しさ?過去のシーズン同様、『進化し続けること』だよ」と話すガルティエ。ホームで迎えた開幕戦を上位争いの直接のライバル相手に落とすという厳しいスタートとなったが、チームが見せたプレースピードと球出しのテンポはトップ14のクラブの中では驚異的。トラン=デュックの積年の課題であるプレースキックの質が安定すれば、競ったゲームを落とすことも減るはず。トップ14へのアンチテーゼ。モンペリエのアタッキングラグビーは今年も進化し続ける。

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