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2014−15シーズン トップ14チーム展望 –ユニオン・ボルドー・ベグル–

2014/08/19

 昨シーズンは7位のスタッド・フランセに勝ち点1及ばず8位に終わり、最終節まで争ったヨーロピアンチャンピオンズカップへの挑戦権を惜しくも逃したボルドー。年間予算は約1300万ユーロと下から3番目の中、シーズンを通じてファンタジー溢れる継続展開ラグビーを見せ、まさしくトップ14の台風の目となった。

 

 15トライをマークしてトライ王となったメツイセラ・タレブナとブレア・コナーの音速コンビを両ウィングに揃え、スクラムハーフのヘイニ・アダムズが速いテンポで密集からボールを捌くと、最近では見なくなった超クラシックなスタイルのスタンドオフ、ピエール・ベルナールが正確な判断でボールを回す。ボール継続の意識はチーム全体に行き渡り、自陣でのキック処理からでも果敢にカウンターを狙う超攻撃的ラグビーはサポーターを魅了し、トップ14昇格3年目のチームが年間を通じてリーグ最多となる25万4092人の観客をホームに集めることになった。マークしたトライは最多のモンペリエとクレルモンの59に次ぐ58で、優勝したトゥーロンの54トライを大きく上回り、総得点は629で上記3チームに次ぐ4番目。以下大きく離れてプレーオフで決勝まで進んだカストルの567点が続く。ちなみに総失点は573と悪い方から数えて4番目となっており、12番目の予算でレギュラーシーズン8位というチームの、ほとんど気違いじみた「アンバランスなまでのアタックぶり」がよくわかる。

 

 新シーズンの予算は約1600万ユーロで10番目。2011年の昇格時の目標だった3シーズン連続の残留を果たし、ステップアップを狙うシーズンとなる今季の目標を会長のローラン・マルティは以下のように語る。「去年よりいい結果を残すのは難しい。6位、それが私たちが皆密かに願っていることだよ。準々決勝というのはまだ一度も味わったことのないまさに夢だし、クラブにとっての大きな一歩になるはず。でも不安なのは、確かに6位と差のない8位だったけど、下位とも離れていなかったこと。心配せざるを得ないよ。チームのキャパシティーは限られているから、落とし穴になりかねないホームの最初の2戦のうち1つでも落とせば、すぐに悪い状況に陥ることになる。絶対に6位が欲しいと言える程の選手層もないし、去年はビアリッツとペルピニャンが降格するのを見ているから、不安になるのは当然だよ。もし去年と同様のシーズンを送ったら、不満だとは言えないよ。でも、私たちは常に野心的だしもっと上をと思っているから、昨シーズンのように最後まで6位を夢見てプレーするよ」。

 

 シーズンオフには、昨シーズンフランス代表にも呼ばれたフェリックス・ル=ブリスに、ジュリアン・レイ、ブレア・コナー、メツ・タレブラ、ヒュー・チャルマーズ、キャプテンのマチュー・クラーキン、ヘイニ・アダムズらの主力に加え、コーチ陣も含め18人と2016年まで(何人かは2017年まで)契約を延長し、2012年に総監督に就任したラファエル・イバニェスのチームづくりにクラブは信頼を示した。一方で2部に降格したビアリッツとペルピニャンから、23歳のスクラムハーフヤン・レスグルグと右プロップのフランシスコ・ゴメス・コデラ、22歳の左プロップセバスティアン・タオフィフェヌア、フランカーのベルトラン・ジュリー、フルバックのソフィアン・ギトゥンをそれぞれ補強。トゥールーズからは元フランス代表スタンドオフのリオネル・ボクシスを呼び寄せた。昨シーズン前半12試合で9トライを挙げ、フランス代表初選出も果たしたギトゥンは残りのシーズンをアキレス腱断裂で棒に振っており、ワールドカップ出場も懸かる今季にかける思いは強い。「おれたちのプレースタイルはギトゥンにはぴったりだよ」とバックスコーチのヴァンサン・エチェートが語るように、タレブナ、コナーと形成することになるバックスリーはボルドーの新しい武器になることは間違いない。

 

 昇格組のリヨンをホームに迎えた開幕ゲームでは、チームに堅さと緊張が見え自慢のトライは奪えなかったものの、昨シーズン足だけで294ポイントを稼いだベルナールと、替わって入ったボクシスがそれぞれ落ち着いてペナルティキックを沈めて18−9で勝利。昇格チーム相手のホーム初戦という絶対に勝ち点を稼がなければいけない試合で、しっかりと勝利を手にした。

 

 フランス代表98キャップのうち41回キャプテンを務めた名フッカーのイバニェスは言う。「ラグビーは素晴らしいスポーツだよ。80分間自分自身を表現できる、自分がどんな人間か声を高くして言えるんだ。こんな幸運はないよ」。シーズンは長い。ボルドーレッドのジャージを着た選手たちが腹の底から自己主張するチャンスはまだたっぷり残されている。

 

 

 

 

 

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