top of page

2014−15シーズン トップ14チーム展望 –リヨン・オランピック・ユニヴェルシテール・ラグビー–

2014/08/20

 何とも痛い開幕ゲームになった。

 

 2011−12シーズン以来のトップ14復帰となった先週末のボルドー戦。リヨンは粘り強いディフェンスで善戦するも、アウェイでディフェンシブボーナスを取れず18−9で敗戦。そして試合の結果以上に痛かったのが、フランカーのピエリック・グンターと左プロップウィアン・デュプレシの負傷。グンターは右膝前十字靭帯断裂で全治6ヶ月。左アキレス腱を切ったデュプレシは7ヶ月近くグラウンドから離れることになる。出場機会を求めて今シーズン2冠王者のトゥーロンからレンタル移籍してきたグンターは、一昨年までトゥーロンのフォワードコーチを務めていたリヨンのフォワードコーチオリビエ・アザムの肝煎りで呼び寄せた、機動力とパワーを兼ね備えた24歳のフランカー。チームの期待も大きく、大きな痛手となった。一方のデュプレシは不動の左プロップ。土曜日のゲームではボグダン・バランが替わって入ったが、1試合を任せるのは荷が重く、チームはすでに代わりの選手を捜し始めている。

 

 2人以外にも、プレシーズン中から怪我人が続出。エクスターから加入したホアニ・ツイは首の怪我であとひと月はかかり、フッカーのダミアン・フィッツパトリックも膝の怪我でアウト。ミカエル・デ=マルコ、カリム・ゲザル、マチュー・ロレ、ロマン・ヴェニア、アドリアン・ボーらも軽症ながら不安を抱えており、シーズン開幕を待たずにチームはすでに野戦病院状態。それでも、「呪いがかかっているのかはわからないけど、確かにちょっと多過ぎる。フィジカルコーチのブリス・ピュトまで左膝の十字靭帯を切ったしね。選手じゃないのがせめてもの救いだよ。でも去年は、シーズン序盤ですでに4人が靭帯を負傷していた。もう慣れているよ」と、以前リコーでもコーチを務めた総監督のティム・レーンはお得意のユーモアで悲壮感を振り払う。

 

 昨シーズンは1500万ユーロというProD2ではダントツの年間予算を組み、第2節から1度も首位を譲ることなく危なげなく優勝し、悲願の再昇格を果たした。2011年のシーズンは1シーズン限りで再降格を味わっており、今季のクラブの合言葉はとにもかくにも「残留」。会長のヤン・ルーベールは「最低限の目標は、当然残留」と語る一方で、新シーズンには2100万ユーロと、昨年レギュラーシーズン2位のモンペリエの2250万ユーロに次ぐ7番目となる予算を組んでおり、「ただトップ14にいるということを見せるためだけに昇格したわけではない。残留の先は、どんな限界もない」とチームのポテンシャルに期待をかける。

 

 昨シーズン限りで引退したチームの支柱セバスチャン・シャバルに代わるリーダーとして、日本でも強烈な印象を残したオーストラリア代表110キャップを持つジョージ・スミスを、他クラブとの争奪戦の末サントリーから獲得。「ジョージーは特別なヤツだよ。経験豊富で生まれながらのリーダーだ。よく走って、タックルして、密集でボールを奪う、そのプレーの質はまだまだ変わらない」とレーンが賞賛を惜しまない34歳の元ワラビーの存在が、グンターの長期離脱が決まった今ますます重要になってくる。

 

 シーズンオフには16人を放出し、ジェローム・ポリカル、ファブリス・エステバネスらの元フランス代表に加え、スティーブン・ブレット、ディオン・フーリーら新たに17人が加入した新チームだが、現状では「まずは残留」という目標が一番現実的。クラブ予算は他の降格候補に比べれば圧倒的に恵まれており、昇格即再降格というエレベーターに再度乗らないためには、レーンが言う「常に一丸となって戦う姿勢」が重要になる。

Please reload

Copyright (c) kosuke hakoyama. All rights reserved.
本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。

bottom of page