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2014−15シーズン トップ14チーム展望 –クラブ・アトレチック・ブリーヴ・コレーズ・リムザン–

2014/08/22

 「おれたちが首位?滅多にあることじゃないから写真撮っとくよ」。ブリーヴのキャプテン、アルノー・ムラがロシェルとの開幕戦直後のロッカールームでインタビューに応えて笑う。

 

 ホームスタジアムのアメデー・ドメネクに昇格組のロシェルを迎えた2014−15年シーズンのオープニングゲーム。4トライをマークして37−15の勝利と願ってもないスタートを切ったブリーヴは、第1節にオフェンシブボーナスをマークして勝った唯一のクラブとなり、今季予算トップ14最低のクラブが順位表の一番上に「躍り出る」形になった。ちなみにブリーヴの新シーズンのクラブ予算は1360万ユーロで、隣県の強豪クレルモンの2790万ユーロの半分以下。

 

 2012年にProD2に降格するも1シーズンでトップ14復帰を決め、再昇格年となった昨シーズンは圧倒的な降格候補に推されるも、「野武士」といった表現がいかにもしっくりくるメディア露出の圧倒的に少ない地味な選手たちが、身体を張った粘り強いラグビーをシーズン通して実践し、9位という予想外の健闘。ホームでは、降格したビアリッツ戦の敗戦とラシンと引き分けたのを除き、全勝。欧州とトップ14の2冠を獲ったトゥーロンをはじめ、トゥールーズ、クレルモン、カストル、モンペリエといった強豪もすべてアメデー・ドメネクでは返り討ちにする一方で、アウェーでは1分け12敗と見事なまでの内弁慶ぶりを発揮。スタジアムに直接足を運ぶサポーターにとっては堪らないプレーぶりを見せた。

 

 今シーズンもその地味で控えめなクラブ戦略(チームカラーも黒と白)は変わることなく、新加入選手は9人のみな一方で、コーチングスタッフ、選手らを合わせ20人以上との契約を向こう2、3年延長。まずは残留を目指して、身の丈にあった経営を行いつつ安定したチームづくりにこつこつと励んでいる。「リーグは混戦。よく言われるように、食べれば食べるほど舌は肥えてくる。10位なら上出来だけど、でももっと上を目指してるよ」とはヘッドコーチのニコラ・ゴディニョン。

 

 そんなブリーヴのメルカートの目玉は7人制のフィジー代表のベニト・マシレヴ。「同じフィジーのナグサやナラガの様な例に続きたい。それでワールドカップに出られたら嬉しいよ」と語る快足ウィングがトップ14のラグビーに順応出来るかどうかが、当然降格の危険もはらチームの今シーズンの1つの鍵となる。

 

 「当然プレシーズンマッチは重要だよ。ラグビーでは自信が重要な要素の1つなのはみんなわかっている。カストルとの練習試合ではかなり上手くいったし、今週末もグラウンドで楽しみながら同じようにやらなきゃいけない。グラウンドで楽しむことが出来れば、結果はついてくるよ」とムラがリーグ開幕を前に語っていた通り、見ている方にとっても楽しいラグビーで、降格争いを避けるためにも是非叩いておきたかったロシェルに勝利。昨シーズンのトップ14得点王であるガエタン・ジェルマンが1トライ22得点と躍動。最高の形でシーズンの幕開けを飾ったブリーヴだが、昨年以上の成績を残せるのか、優勝候補の一角であるクレルモンをホームに迎える今週末のゲームがひとつの物差しとなる 。

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