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2014−15シーズン トップ14チーム展望 –ユニオン・スポルティブ・オヨナ・ラグビー–

2014/08/23

 試合を決めた疑惑の判定に、オヨナの名物ヘッドコーチクリストフ・ウリオスは試合後怒りを隠せなかった。20−19とトゥールーズ1点リードの試合終了間際、80分のサイレンが鳴った後も攻め続けるオヨナのポストほぼ正面30メール付近でのラック、ボールに手をかけるヤニック・ニャンガに対してレフェリー自ら「ノンノン !!」と叫びつつも、そのままボールを奪ったトゥールーズフランカーに対して誰がどう見ても明らかな反則だったにもかかわらずなぜか笛を吹かず、ボールが蹴り出されて試合終了。「試合全体を通して他にもレフェリーのミスジャッジはあった。これだけじゃない。でもな、これは酷い。どうしてかっていうとな、ラストワンプレーだから。めちゃくちゃだから。審判はトゥールーズの選手に声に出して注意しながら、プレーヤーはボールをジャッカルし続けた。レフェリーは初めてのトップ14のゲームでミスをした。いいレッスンになってくれればいいよ。ミスジャッジはあったけどあいつはいいレフェリーだ。ただ、勇気がなかっただけだと思う。最後まで仕事をやり遂げなかった。あいつは反則が見えていた。自分自身で自分のやったことがわかってる。それに腹が立つ。勇気っていうのは美徳だ。でも、あいつにはそれがなかった」と、レフェリーの単なるミスジャッジではなく、フランス一の名門クラブの圧力にレフェリーが屈したと強く批判。フランス国内リーグ機構の会長であるポール・ゴズが、口の減らないトゥーロン会長のムラッド・ブジェラルと監督のベルナール・ラポルトを黙らせるためにだけ今シーズンより新たに設けた「リーグのイメージを貶める発言には5万ユーロから30万ユーロの罰金」という規定が、すわ発効かと話題になった。

 

 それでも、「チームは去年よりも強化されたし、経験も積んだ。1ポイント1ポイントが大切になってくる。昨季のようなシーズンは送りたくない。今シーズンはアウェーでも常にチームとして存在できるようにしないといけない」と言うバックスコーチのフレデリック・シャリエの言葉通り、トゥールーズのホームグラウンド、エルネスト・ワロンでの開幕戦で勝ち点1を稼いだオヨナ。昨シーズンはアウェーゲームで勝ち点を得るまでに4ヶ月かかり、その脆さが最終節まで降格争いに巻き込まれる要因になったこともあり、今年も優勝候補の一角の名門と敵地で互角に渡り合えたことは大きな収穫。

 

 クラブ史上トップ14初昇格となった昨シーズンとは違い、残留を決めた今年のメルカートでは選手を集めやすくなり、適材適所の補強でチームの層が厚くなった。特に第3列には、ハーレクインズからモーリー・ファサヴァル、スタッド・フランセからオリヴィエ・ミスップ、バイヨンヌからギョーム・ベルナッドと百戦錬磨のベテランを獲得しており、2年連続の残留を目指すシーズンにその経験が大きな力になるはず。

 

 「真っ白な新しい1ページから始めるわけではないけど、また新しい巻を書くことになる。昨シーズン俺たちの武器となったチームの特色を今年も押し出していくよ。クラブには家族のような雰囲気がある。このチームスピリットを持ち続けなきゃいけない」と語るウリオスだが、開幕ゲームでは選手は昨年シーズン以上のまとまりを見せた。今年も2部降格の有力候補に数えられ、「うちのクラブが永遠にトップ14にいられる保証は何もない」と会長のジャン=マルク・マンデュシェールは現実的に話すが、だからこそスタッフも選手も試合ごとにすべてを出し切るのがオヨナのラグビー。泥臭くも勇気溢れる「田舎もん」の戦いぶりは今年も変わらない。

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