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迷走から抜け出せないフランス代表、「74」人もの代表候補選手を発表

2014/09/14

 ワールドカップ本番まで1年となっても、フランス代表の迷走が止まらない。6月のオーストラリア遠征はいいところなく3戦全敗。フィリップ・サンタンドレの監督就任以来の勝率は37,9%と歴代最低を記録し、夏には地元開催のワールドカップで3位と奮起した女子代表の人気沸騰もあり、今や男子の方は史上最弱のレッテルを貼られる始末。

 

 トゥールーズのフォワードコーチだったヤニック・ブリュとビアリッツのバックスコーチだったパトリス・ラジスケと、フランス国内でも有数のコーチを半ば無理矢理クラブから引き抜いてきたにもかかわらず、就任から2年半以上経った今も、フランス代表がやりたいラグビーは見えてこない。世界最強と謳われていたトリコロールのスクラムは、ルール変更に対応するのに若干戸惑い、以前ほど他チームを圧倒できず、バックス陣は安定感のあるレミ・タレスをスタンドオフに据えてゲームコントロールを重視したチーム作りを目指すも、フレンチフレアーを完全に失ったブルーに結果は伴わず、フランソワ・トラン=デュック待望論がファンからもメディアからも聞こえて久しい。

 

 また、年寄り共が牛耳り、改革を拒否する旧態依然としたフランスラグビー協会そのものに対するファンの風当たりも強くなるばかり。

 

 そんな中で、フランスラグビー協会は9月12日 、74人もの「代表候補選手」リストを発表。内訳は、5月末に発表されていた、フランスラグビー協会とラグビー国内リーグ機構の協定で年間試合数を30試合以内に制限された30人の「指定選手」と、セルジュ・ブランコを中心とした特別委員会が選ぶ30人、それに加えて10人の「フランス代表招集可能」な外国人選手と、現在負傷中の4人を会わせた74名。この異常に長い候補選手リストが意味するところは、ワールドカップまで1年と迫り各国がチームの背骨を固めていく中で、フランス代表チームはここ2年間の仕事を諦めて振り出しに逆戻りするということ。今年のシックスネイションズの直前には、「今まではチームの土台を作るテスト期間だった。今シーズンからは結果が求められる」とサンタンドレ自身語っていたのが、結局チームの方向性がはっきりしないまま、ワールドカップまであと1年となって「新」チーム作りに取りかかる羽目になった。

 

 「結果以外は他国と比べて遅れとをとっているわけではない。確かなことは選手を最高の状態に持っていかなければならないこと。それに優秀なキッカーもつくらなければいけない。私たちはグループを大きくしたかった。オーストラリアでは選手たちにがっかりさせられた。それは選手もわかっている。何人かは試合で、何人かは練習やグラウンド外でその取り組み方に不満が残った。選手たちとは個人的に話し合いを持ったよ。選択肢をもっと増やしたい。トップ14で素晴らしいパフォーマンスを見せている選手もいれば、指定選手の中にも新シーズンが始まってから低調なプレーに終わっている選手もいる。すべての選手にチャンスがある。私はフランス代表監督のままだし、選手を選ぶのも私だ。選手との関係に問題はない。一番意欲のある選手をとるだけだよ」と、聞こえてくる批判にやんわりと反論したサンタンドレだが、今のままではウェブ・エリストロフィーを持って帰ってくることが不可能なことは本人もよくわかっているはず。

 

 21日にはこのリストの中から、フィジー、オーストラリア、アルゼンチンを迎える秋のテストマッチの招集選手30名が発表される。南アフリカ出身のスクラムハーフ、ロリー・ココットの初招集がほぼ確実と見られ、トラン=デュックとのハーフ団となるかが注目だが、 「いくつかのポストに関しては、ポジション争いはゼロからやり直す。トップレベルはグラウンドでの結果がすべて。私たちはベストの選手が欲しいんだ。チームの骨格に関してはイメージは出来ている」と語るサンタンドレが、他のポジションも含めてどこまで冒険できるのか。サポーターは新しいブルーを待っている。

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