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フランス代表、ワールドカップ合宿に向かう36人を発表。

2015/05/21

 トップ14のレギュラーシーズンをまだ1試合残した今週火曜日、ワールドカップの準備合宿に参加するフランス代表メンバーが発表された。

 

 初めて眼鏡をかけての登場となったフィリップ・サンタンドレが読み上げた36人は以下の通り。

 

プロップ

ウイニ・アトニオ(ラ・ロシェル)

エディ・ベン・アルース(ラシンメトロ)

グザヴィエ・チョッキ(トゥーロン)

ヴァンサン・ドバティー(クレルモン)

ニコラ・マス(モンペリエ)

ラバ・スリマニ(スタッド・フランセ)

 

フッカー

ギレム・ギラド(トゥーロン)

バンジャマン・カイザー(クレルモン)

ディミトリ・ザルゼウスキ(ラシンメトロ)

 

第2列

アレクサンドル・フランカール(スタッド・フランセ)

ヨアン・マエストリ(トゥールーズ)

パスカル・パペ(スタッド・フランセ)

セバスチャン・ヴァアマイナ(クレルモン)

 

フランカー

ティエリ・デュソトワール(キャプテン)(トゥールーズ)

ベルナール・ル・ルー(ラシンメトロ)

ヤニック・ニャンガ(トゥールーズ)

フュルジャンス・ウエドラオゴ(モンペリエ)

 

ナンバーエイト

ダミアン・シュリ(クレルモン)

ロアン・グジョン(ラ・ロシェル)

ルイ・ピカモル(トゥールーズ)

 

スクラムハーフ

ロリー・ココット(カストル)

モルガン・パラ(クレルモン)

セバスチャン・ティルズボルド(トゥーロン)

 

スタンドオフ

フレデリック・ミシャラク(トゥーロン)

レミ・タレス(カストル)

フランソワ・トランデュック(モンペリエ)

 

センター

マチュー・バスタロ(トゥーロン)

アレクサンドル・デュムラン(ラシンメトロ)

ガエル・フィクー(トゥールーズ)

ウェスレー・フォファナ(クレルモン)

レミ・ラムラ(カストル)

 

ウイング・フルバック

ブリス・デュラン(ラシンメトロ)

ソフィアン・ギトゥン(ボルドー・ベグル)

ヨアン・ユジェ(トゥールーズ)

ノア・ナカイタシ(クレルモン)

スコット・スペディング(バイヨンヌ)

 

 発表前から一番の注目の的となっていたのがスタンドオフ。サンタンドレの就任以来、試されてきたハーフ団は16通り。3年半かけてもチームの軸が決められないままワールドカップに向かうことになったわけだが、話題の中心になっていたのは、シーズン始めからモンペリエで出色のプレーを見せていたものの、10月に頸骨を骨折し3月になってやっと復帰したフランソワ・トランデュック。評論家、現役選手、各チームのコーチ陣らが、口を揃えて現在フランス最高のスタンドオフと認めるトランデュックだが、2014年2月以来代表からは遠ざかっており、怪我の影響もありサンタンドレの決断が注目されていたが、サポーター、また本人にとっても待望の代表復帰となった。煽りたいメディアは、「驚きの」と口を揃えて書いたが、一時期ジャパンの監督も務めたジャン・ピエール・エリサルドが「トランデュックが選ばれなかったら、それこそ驚きだよ」と語っていた通り、そのプレー内容から見れば、当然の選出。

 

 その一方で予想外の選出となったのが、フレデリック・ミシャラク。ジョニー・ウィルキンソンの引退で、今シーズンはついにトゥーロンで念願のスタンドオフでのプレーが叶ったものの、シーズン序盤に肩を手術。終盤になって復帰するものの、チャンピオンズカップ準決勝のレンスター戦では後半開始直後に交代させられ、怒りのあまりロッカールームに直行。試合終了を待たずにシャワーを浴び着替えをすますという大失態。決勝でも出番はなかった。また、その翌週には手首を骨折。ワールドカップはますます遠のいたかと思われたが、スクラムハーフ、スタンドオフの両方をこなせるポリバレントさと、経験と控えでも受け入れる姿勢を買われ、3番目の椅子を手にした。

 

 今季は若干調子を落としているものの、安定したゲームコントロールで長らくレギュラーだったレミ・タレスは予定通り。シックスネイションズでスタメンだったカミーユ・ロペスはプレーが安定せず、シーズン後半に膝の怪我もあり調子を落としたことで最後の最後で選外に。スタッド・フランセでモーン・ステインをベンチに追いやり、今季著しい成長を見せ、シックスネイションズでも途中出場ながらプレーした、ブルーの次期10番と見られているジュール・プリソンは、メンバー発表3週間前に肩を脱臼する憂き目に遭い、怪我人が出た場合の補欠を含めた50人のリストへ。

 

 スタンドオフの選択以上に反響をもたらしたのが、今フランスで一番「上手い」センター、マキシム・メルモーズの落選。チャンピオンズカップ3連覇、トップ14でもレギュラーシーズンの最終節を残して首位を行くトゥーロンで、レギュラーセンターとして大車輪の活躍。センチメートル単位でスペースを見つける能力は玄人好みで、今のフランスで、「唯一パスができて味方を活かせるセンター」であるメルモーズの選外に、専門家もファンも不満を隠せない。「私にとっては、トゥーロンでのシーズンを見れば、メルモーズがこの6人の中で一番だ。この中で一番外せないのが彼のはずなのに、完全に理解不能だよ。私の意見では、彼の落選はこのリストの中で一番の驚きだよ。プレーに限っていえば、どうやってメルモーズが他の5人より劣っていると考えられるのか理解できない。説明してもらう必要がある。コンタクトでは絶対に下がらないし、ディフェンスもいい。ギャップをついてゲインもすれば、ダミーランで味方にスペースを作るのも上手い。相手ディフェンスを前にしてのパスも、オフロードも素晴らしい…かなりの長所だと思うんだけどな。シックスネイションズでも、それまでのブルーのアタックは悲惨だったのに、メルモーズがプレーした最後の2試合はだいぶ良かったと感じたけど」と、元フランス代表スタンドオフのヤン・ドレーグはサンタンドレの選択を真っ向から批判。同じく元フランス代表センターのトマ・ロンバールも「私だったらメンバーに入れたよ。バスタロ、ミシャラク、トランデュックを除けば、バックス陣は経験が浅い。マキシムが前回ワールドカップの決勝で先発したことをみんな忘れている」と同調。サポーターの間でも、筋肉直進系のセンターばかりの選択に、フレンチフレアが消えるのも当然と、疑問の声が至る所で噴出している。

 

 シックスネイションズのアイルランド戦でジェイミー・ヒースリップに悪質な膝蹴りを加え、10週間の出場停止を受けシーズン終盤を棒に振ったパスカル・パペは予想通りの招集。ファンの視線は冷たいが、「ロックでは、フランカール、マエストリ、パペの3人は抜けているし、彼はグループの副キャプテンだ」と、サンタンドレの信頼は厚い。

 

 左プロップのグザヴィエ・チョッキが、シーズン後半の高いパフォーマンスで滑り込み。トゥーロンのチームメイトであるアレクサンドル・メニーニを選外に押しやった。

 

 それ以外はほぼ予想通りのリスト。ワールドカップのメンバー発表だというのに、歴代監督最低の勝率のサンタンドレ政権に、いまいち納得の行かないメンバー選考ということで、サポーターの熱は上がってこない。それでも、4年前も大会前は全く期待されていなかった上に、大会中に監督と選手が真っ向から対立し、サポーター、メディアから愛想を尽かされたものの決勝まで駒を進めたトリコロール。アウトサイダーのときほど力を発揮するといわれるフランス代表、今秋のイングランドで躍進する条件は、残念ながら今のところ整っている。

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