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ブライアン・オドリスコル、ラストダンス。

2014/03/13

 3月15日土曜日午後5時。アイルランド全国民の視線は、パリのスタッド・ド・フランスに注がれる。お国の英雄、BODまたはDriscoことブライアン・オドリスコルの代表ラストマッチ。1999年に19歳でテストマッチデビューを飾ってから、公称178センチと大きくない身体で35歳の今日まで重ねたキャップ数は世界最多の140(アイルランド代表132キャップのうち83試合でキャプテン。ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズとして8キャップ)。 テストマッチ46トライは、アイルランド代表最多、世界歴代でも8位の数字。シックスネイションズにおいても歴代最多の26トライ。代表チームのもう一人の重鎮、ロックのポール・オコネルに「アイルランドラグビーを変えた男」とまで評されるセンターは、高給に目が眩んで母国を離れる選手も多くなるなか、デビューからレンスター一筋というのもアイリッシュスピリットに熱く語りかける。

 

 今大会のパフォーマンスを見ても、その輝きは未だ色褪せず。自身ホーム最終戦となった先週末のイタリア戦でも、3トライを見事に演出。試合が決まった62分にベンチに下がる折には、超満員のランズダウン・ロードが満場のスタンディングオベーション。その後も液晶画面にBODの表情が映される度に、自然と沸き起こる拍手。文句なしのマンオブザマッチに選出され、試合後のスタジアムには、「One more year」を連呼するサポーターの声が響いたが、「自分で引き際を決められるというのは、プロとして幸せなことだと思う」と本人が述べているとおり、大会優勝を賭けた土曜日のフランス戦が最後のクローバーのジャージとなる可能性が高い。「勝つ力はある。でも、どれだけ難しいかもよくわかってるよ。パリでは42年間で一度しか勝っていないんだから!! 最高のパフォーマンスをしないとね」とオドリスコルが言えば、フランス代表ヘッドコーチであるフィリップ・サンタンドレは、「ビデオを見たけど、いまだにキレキレだね。でも、オドリスコルのためのパーティーにはしたくないよ」と意気込む。 

 

 その、42年間で唯一のアイルランドのパリでの勝利というのは、2000年にオドリスコルがハットトリックをマークした時のもの。141試合目の最後のテストマッチ。ラストダンスの舞台は整った。

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