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ウェールズ、シックスネイションズに向け34人を招集。

2015/01/24

 ニュージーランド出身のウェールズ代表監督ウォーレン・ガトランド、2月6日のイングランド戦で開幕するシックスネイションズに向けた合宿に召集する34選手を発表。

 

 2大ニュースは、代表95キャップの右プロップアダム・ジョーンズが秋のテストに続いて外れたことと、ニュージーランド出身のスタンドオフガレス・アンスコムの初招集。

 

 ロドリ・ジョーンズが肩の脱臼で不在、サムソン・リーは首の調子が思わしくなく、アダム・ジョーンズの復帰は確実とみられていたのが、選ばれたのはカーディフでのアダム・ジョーンズのチームメイトで、クラブではタイトヘッドプロップとしては4番目の位置付けで、今季プロ12では先発が一度もないスコット・アンドリュー。ガトランドは、「アダムの経験はよくわかっている。怪我人が出たら彼を呼ぶこともできる」とは言ったものの、「私たちは彼をインパクトプレーヤーとしては見ていない。もし彼が戻ってくるならスタメンとしてだ」と歯切れの悪い説明で、メディア、ファンの間でも、「ウェールズの人間国宝」ジョーンズの代表キャリアの終幕と見る向きも。

 

 2011年のU20ワールドカップでスタンドオフとして自らも大会得点王に輝く活躍でニュージーランドの全勝優勝に貢献し、2013年のスーパーラグビー決勝ではチーフスでフルバックとして先発し優勝を味わったガレス・アンスコム。ウェールズ生まれの母親を持ち、ウェールズ代表資格を有していたキーウィは、ワールドカップ出場を目指して母国を離れ、今季からカーディフ・ブルーズに移籍。ここまで9試合の出場にとどまるも、23歳の同胞にレッドジャージへの挑戦権を与えたガトランド、「ダン・ビガーはクオリティが高いし、長所もあるけれど、向上させる余地もあるリース・プリーストランドもいる。そこにガレスがまた別のオプションをもたらしてくれる。これからの数ヶ月、スタンドオフのポジション争いは面白いものになるだろう」と話し、「12ヶ月前にガレスと彼の父親に会った。細かい話はしなかった。ただ、私たちからのプレッシャーはない。もしニュージーランドに戻ってオールブラックになる夢を追い続けたければ、何も問題はないと言ったんだ」と、チーフスでプレーしていた1年前にすでにアンスコムをウェールズ代表のオプションとして考えていたことを打ち明けた。

 

 アンスコムによって押し出されたのはプレミアシップでプレーするジェームズ・フックとオーウェン・ウィリアムズの二人。

 

 ウイング以外はどのポジションでも高いレベルでこなすユーティリティーバックのフックだが、今季はスタンドオフでのプレーを求めてペルピニャンからグロスターに移籍。基本的に10番に固定され、ここまで好調を維持し見事にチームを牽引。前節1月9日のホームのサラセンズ戦では、ラストプレーの81分に51メートルの逆転ペナルティゴールを決め、キングスホルムでの24−23の劇的勝利を演出した。ここしばらく代表に呼ばれていなかったので驚きは少ないが、プレースキックも安定している上にこれだけのパフォーマンスを見せても招集が見送られるということは、ガトランドにとってはどこで使うにしても帯に短し襷に長しという見方なのだろう。同じユーティリティーバックのアンスコムが選ばれたということで、ウェールズ代表バックス陣に怪我人が続出しない限り、年齢を考えてももう二度とウェールズジャージに身を包むフックを見られないかもしれない。

 

 昨シーズンからレスターでプレーする22歳のオーウェン・ウィリアムズは、シーズン前の大方の見方を覆して、イングランド代表復帰を目指してグロスターから移籍してきたフレディ・バーンズを押しのけて1番手のスタンドオフの座を獲得。代表選手がウェールズでプレーすることを望むガトランドは、昨年末にスカーレッツと代表との二重契約でウィリアムズに国内復帰を提案するも、ウィリアムズはこれを断りレスターと再契約。昨年、すでに国外でプレーしていて契約が残っている選手を除いて、基本的にウェールズ国外でプレーする選手を代表に呼ばないことに決めた協会のプランにそぐわないウィリアムズの決断が、今回の落選につながったと見る向きも多いが、レスター監督のリチャード・コッカリルはそれをはっきりと否定。その上で、「オーウェンに関しては残念だよ。この3人と比べたら、少なくとも合宿に行って練習する機会を与えられるべきだった。その代わりにキーウィを呼ぶなんて」と、ガトランドを口撃。それでも、ワールドカップ後にバースに移籍するプリーストランドの代表引退はほぼ確実で、22歳のウィリアムズの未来は明るい。

 

 初招集は、アンスコムにタイラー・モーガン、キリスチャン・デイシー、ロブ・エヴァンズを加えた4人。モーガンは先月に協会との二重契約を結んだばかりの19歳の有望株で、大会に臨む23人に残れる可能性も。デイシーは、ケン・オーウェンスとエミール・フィリップスの怪我を受けて3番手のフッカーとしての招集。今季好調を維持するエヴァンズの招集に関しては異論はなし。

 

 「前のゲームで勝ったメンバーを替えるのは難しい、そうだろ?」

 

 スタメンのバックスリーの選択に関してそう答えたガトランド。15年ぶりにスプリングボクスを破った昨秋のテストマッチの先発は、アレックス・カスバート、リー・ハーフペニー、リアム・ウィリアムズ。つまり、22歳ですでに45キャップを数えテストマッチ19トライをマーク、今シーズンもノーサンプトンでここまで14試合で11トライと好調のジョージ・ノースを外すことをほのめかしたわけだ。アッタクに関しては世界最強のウイングの一人であるノースだが、ディフェンスに難があり、今季大爆発したリアム・ウィリアムズの台頭で、以前のように無条件でウェールズのスターティングラインアップに名を連ねるという状況ではなくなってきている。「ウェールズのジャージを着ているときの自分がエンジン全開じゃなかったのはわかってる。今大会で修正したい。ジャージより重要な選手はいない。いいプレーをしなければジャージを失う。しっかりと自分の仕事ができるようにしたい」とガトランドの発言に関して答えたノース。やることはわかっている。

 

 ワールドカップまで8ヶ月を切って、さらなる競争を煽るガトランド。ウェールズは昨年失ったタイトルを取り戻せるか。

 

 

プロップ

ゲティン・ジェンキンス(カーディフ)

ポール・ジェームズ(バース)

ロブ・エヴァンズ(スカーレッツ)

アーロン・ジャーヴィス(オスプレイズ)

サムソン・リー(スカーレッツ)

スコット・アンドリューズ(カーディフ)

 

フッカー

リチャード・ヒバード(グロスター)

クリスチャン・デイシー(カーディフ)

スコット・ボールドウィン(オスプレイズ)

 

ロック

アラン・ウィン・ジョーンズ(オスプレイズ)

ジェイク・ボール(スカーレッツ)

ブラッドリー・デイヴィス(ワスプス)

ルーク・チャータリス(ラシン・メトロ)

ダン・リディエイト(オスプレイズ)

 

フランカー/ナンバーエイト

ジェイムズ・キング(オスプレイズ)

サム・ウォーバートン(カーディフ)

ジャスティン・ティプリック(オスプレイズ)

タウルペ・ファレタウ(ニューポート)

 

スクラムハーフ

マイク・フィリップス(ラシン・メトロ)

リース・ウェブ(オスプレイズ)

ガレス・デイヴィス(スカーレッツ)

 

スタンドオフ

ダン・ビガー(オスプレイズ)

リース・プリーストランド(スカーレッツ)

ガレス・アンスコム(カーディフ)

 

センター

コリー・アレン(カーディフ)

ジェイミー・ロバーツ(ラシン・メトロ)

ジョナサン・デイヴィス(クレルモン)

スコット・ウィリアムズ(スカーレッツ)

タイラー・モーガン(ニューポート)

 

ハラム・アモス(ニューポート)

アレックス・カスバート(カーディフ)

ジョージ・ノース(ノーサンプトン)

 

フルバック

リアム・ウィリアムズ(スカーレッツ)

リー・ハーフペニー(トゥーロン)

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