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イングランドラグビー協会、スチュアート・ランカスターとの契約を2020年まで延長。

2014/10/07

 イングランドラグビー協会が、代表監督のスチュアート・ランカスター、及びフォワードコーチグラハム・ロウントゥリー、バックスコーチアンディ・ファレル、アタッキングスキルコーチのマイク・キャットと2020年まで契約を延長したことを発表した。大一番となる母国でのワールドカップを1年後に控えた今、その結果に関わらず次回日本大会までの続投を保証するという稀に見ない長期契約となる。

 

 「協会は長期的なスパンでの継続的な成功を目指している。それがこの契約が示すものだと信じているよ」。イングランドラグビー協会最高責任者のイアン・リッチーは契約の意図を説明し、「そしてコーチ陣にはこれからの12ヶ月間でやることに完全、完璧に集中して欲しい」と、スタッフも選手も「ワールドカップ後」を気にせずに仕事ができる環境を作ることを優先したことを強調。「確かにリスクもある。でも、ここまでの仕事を評価し、確かさと安定性を提供する方が遥かに利点が多いと思う。当然ワールドカップ後には全員が席を共にしてその結果を見直すことになるが、今はいい方向に進んでいると感じているよ」と、コーチングスタッフへの全幅の信頼を口にする。

 

 2011年12月のランカスター就任以来、代表チームの戦績は18勝11敗1分で、対戦したチームの中で勝っていないのは南アフリカだけ。2012年12月にはトゥイッケナムでニュージーランドを38—21で破っており、先週末に南アフリカに敗れるまで継続していたオールブラックスの22戦無敗以前の最後の黒星がそれだった。 また、トム・ヤングス、ジョー・マーラー、ジョー・ランチバリー、ビリー・ヴニポラ、ルーサー・バレル、オーウェン・ファレル、アレックス・グッドらを抜擢し、チームの若返りにも成功。その冷静で温厚な人柄で、ファンからもメディアからも人気は高い。

 

 選手として目立った経歴はなく、ユース代表の強化責任者を務めていたとはいえ前監督マーティン・ジョンソンの後任選びが進む当時もほとんどアウトサイダーと見られていたランカスターに、現在ここまでの信頼が寄せられるのは、単純な結果以上に、就任以来チームとして大きく進化し、目指すチーム作りがはっきりと見えるため。「チームは現在も高いポテンシャルを持っている。でも、将来はさらに明るい。私たちが目指しているのは継続的な強化だ」とリッチーが語る通り、イングランドラグビー協会の計画は2019年ワールドカップを見据えて計画を進めている。実際、現在のスコッドは来年のワールドカップで優勝するにはまだ若く経験が不足しており、チームとしてワールドカップまでに完成形に持っていくには残念ながら時間が足りない可能性が高い。特にスタンドオフにおいては、現在一番手のファレルが23歳、シーズン開幕以来バースで素晴らしいプレーを見せている2番手のジョージ・フォードが21歳、二人を追いかけるフレディー・バーンズが24歳とまだ若く、最年長のダニー・シプリアーニにしても26歳で、他の若手選手も含めてチームが熟すのはちょうど5年後東京大会の頃となる。

 

 ラグビーの母国イングランドが南半球の3カ国に対抗し得る真のラグビー強国となり、2003年の栄光を再び味わうための大決断。1年後に答えが出なくとも、2019年日本でその答えは明らかになる。

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