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ヨーロッパラグビー通信
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ジョニー・ウィルキンソン、噂されたイングランド代表スタッフ入りはなし。
2015/03/30
ここ一週間ほど欧州メディアで、6ヶ月後に迫ったワールドカップに向けて、ジョニー・ウィルキンソンのイングランド代表キッキングコーチ就任が報道されていたが、本人がその噂を否定。
「代表にはもう既に必要な人材はそろっている。彼らがどれだけいい仕事をしているかもみんな知っているよ」
昨シーズン、トゥーロンをハイネケンカップ2連覇と22年ぶりのトップ14優勝に導いて引退し、現在は月に一週間、同クラブでスキルコーチを務めているジョニー。いつかイングランド代表チームを率いる可能性については、
「正直にいえば、僕自身、チーム全体をコーチする能力に関しては不安がある。相手の性格を知って、人間性を理解して、毎日必要なものに取り組める個人コーチの仕事とは大きく異なる。本当に全く違った仕事だし、チームを預かって生活するということは本当にタフな仕事だよ」
と、現役時代と変わらない慎重な答え。
「わからない。正直に言ってわからないんだ。 わかっているのは、1対1で仕事をして、彼らを本当に良く知って、それぞれに必要なものが何かを見つけて、それを現在進行形で補うという役割を楽しんでいるということだよ」
イングランド代表を引退してから4年。プレッシャーと強迫観念から少しばかり解放された新しい生活を楽しんでいるジョニーだが、現役時代に見せたオーラとロッカールームでの影響力は今も変わらない。スチュアート・ランカスターがイングランド代表監督に就任してからも、何度か代表チームのミーティングでアドバイスを与えている。それでも、そういったものは特別に計画されたものではなくてたまたまだったと説明。
「すぐ近所に住んでいるから、ジムに行く時にキャティ(マイク・キャット。イングランド代表のスキルコーチ。ジョニーの親友で師でもある)とすれ違うこともある。そんな時は代表がどんな調子か訊くよ。敵としても味方としてもプレーしたアンディ・ファレル(イングランド代表ディフェンスコーチ)やマイク・ブラウン(イングランド代表フルバック)と会って話すのは楽しい。ジムに住んでいるようなものだから、そんな話が出てきたんだと思う。不幸にもあんまりしょっちゅうジムにいるから、代表と一緒にいるように見えたんだろう。でも、あの雰囲気の中にいるのは楽しいよ。昔を思い出させてくれる」
代表で何度かジョニーにアドバイスを受けているマイク・ブラウンは、代表にもたらすその影響を語る。
「何度か来て、おれたちのプレー内容に関して思っていることを話してくれた。彼はとてもポジティブだから、とてもためになったよ。自分たちがやっていることを誇りに思うためにも、元代表選手が欲しいんだ。彼からその経験を聞けるのは素晴らしいよ。バックスとして、おれたちのミーティングに同席してアドバイスをくれた。彼の視点を知って、異なった意見を聞くのはいいことだよ」
日曜日には、イングランドワールドカップのスポンサーの一つであるランドローバーのキャンペーンで、ブライアン・ハバナ、マット・ギタウ、ウィル・グリーンウッドら新旧の名選手と供にアマチュアチームの試合に参加し、キッカーにティーを届ける役を買って出たジョニー。クラブにしろ代表にしろ(クラブならトゥーロン、代表なら当然イングランドだろう)、ジョニーが本格的なコーチ業を始めるのは、まだもう少し先になりそうだ。
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