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ワールドラグビー、性的マイノリティに対する差別根絶を目指し、国際ゲイラグビー連盟と協定締結。

2015/03/09

 3月5日にダブリンのワールドラグビーハウスで、ワールドラグビーと国際ゲイラグビー連盟が、スポーツ界におけるあらゆる性差別の撤廃を目指し、「歴史的」な協定を結んだ。

 

 性的マイノリティに対するあらゆる差別を根絶すべく両団体は、「あらゆる選手、レフェリー、観客が、その性的指向によって差別されることなくラグビーに関われるようにすること」と「ラグビー界への性的マイノリティの参加と同性愛差別の根絶」を基本方針として、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのコミュニティの問題にラグビーを通して取り組むことを発表。ラグビー界のあらゆるレベルで性的少数者への差別をなくし、誰もが安心して参加できるよう、地域レベルで性差別撤廃のために活動している各団体と協力し、同性愛差別をなくすべく各国協会にも啓蒙活動を行う。また、ワールドラグビーは国際ゲイラグビー連盟主催の大会へのサポートも行うとしている。

 

 協定締結後ワールドラグビー会長ベルナール・ラパセは、以下のようにコメント。

 

「私たちは性差別廃絶、平等、友愛の更なる促進を目指して国際ゲイラグビー連盟と協力していく。ラグビーは、情熱、高潔、団結心、尊敬、規律の精神を培う差別のないスポーツだ。この歴史的な協定の締結は、ゲームはみんなのものという、ラグビーが持つこの価値観を明らかにするものである」

 

 国際ゲイラグビー会長のジェフ・ウィルソンも、この協定の意義を強調。

 

「性的少数者のアスリート、サポーター、レフェリー、関係者と、彼らをラグビー界でサポートする人たちにとって、これは大きな機会だ。ワールドラグビーは、あらゆるスポーツの運営団体の中で、初めて同性愛差別撤廃に取り組む先駆者的存在だ。この世界で、ラグビーが最も非差別的で寛容なスポーツになるように、ともに仕事をしていく」

 

 昨年7月にはシドニーで、スーパーラグビーのワラタス対ハイランダーズの前座として、史上初めてプロラグビーの試合と同じ枠組みで、ゲイのラグビークラブであるシドニーコンビクツがマッコーリー大学と対戦。2009年には、2010年に15人制ラグビーから13人制に移籍して翌年引退するまでに、15人制だけでウェールズ代表100キャップを数え、シェーン・ウィリアムスに抜かれるまで代表最多記録だった40トライをあげたガレス・トーマスが、ゲイであることをカミングアウトしている。また、国際審判員の中でもトップレフェリーの一人、同じウェールズのナイジェル・オーウェンスもゲイであることを公表しており、試合中の名言とそのフレンドリーな性格で、自国以外でも人気がある。

 

 少しずつ扉は開かれてきているが、それでもラグビー界には、その肉体のみならず、頭と考え方までマッチョな人間がいるのも残念ながら紛れもない事実。21世紀にもなって論じなければいけないのがバカバカしいほどの問題だが、いまだ性的マイノリティに対する差別と無知の根は深い。スポーツ界全体のモデルとなれるのか、試されるのはラグビーの持つ価値観、すなわち人間性である。

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