top of page

フランス代表パスカル・パペ、膝蹴りで炎上。

2015/02/18

 パスカル・パペがヨーロッパのラグビーファンの間で炎上中だ。

 

 土曜日のアイルランド戦で、モールを形成していたジェイミー・ヒースリップの背中に膝から走り込んでイエローカードを拝借したパペ。実際にはレッドカードをもらうべきだったパペのプレーで、ヒースリップは結局交代を余儀なくされ、3カ所の脊椎骨折が判明。幸運にも脊髄にはダメージが見られず、ひと月後のウェールズ戦での復帰を目指す向きもあるが、現実的には今年の6カ国対抗戦の残りの試合には間に合わないという見方が強い。

 

 一歩間違えば大怪我に繋がっていたプレーに、アイルランドサポーター以上に大きく反応したのはパペのキャラをよく知っているフランスサポーター。ここまで代表戦でのシンビンはなかったものの、キャリア通算でイエロー23枚、レッド2枚を頂戴している立派なカードコレクター。プレースタイルも、激しいと言えば聞こえはいいがプッツンすることも多く、意味のないラフプレーも目立ち、笑えないジョークと傲慢なコメントは多くのファンから愛されているとは言いがたい(「ハカ?ただのチューニングだ」「ブラッド・ソーンの役割は馬鹿やることだ。俺はあいつよりいいプレーをするさ」などなど)。そのパペが、ブルーのジャージを着て、まだ勝ちの目が残っていたゲームであの行為(「プレー」と呼ぶべきではないかもしれない)。懲りない蛮行にファンの堪忍袋の緒も切れ、監督のフィリップ・サンタンドレも「二つか三つしかキャップのない選手なら理解できるが、あれだけのキャップを持っている選手は(59キャップ目)…しかもうちが攻勢に出始めた最悪のタイミングでのイエローだ」と擁護のしようもなく、試合翌日のメディアもパペのボーンヘッドを厳しく批判。

 

 ラグビーをやったことがある人間なら(いや、ちょっとでも身体を動かしたことがある人なら)、わざとやらない限りああいう形で膝が出ることはありえないことは一目で分かる。主審を務めたウェイン・バーンズもはっきりと「私にとっては意図的だった」と言っているのだが、それでもパペは試合後、「本当に頭にくる。審判に文句は言うつもりはない。もし俺がイエローをもらったのなら、それに値したってことだ。って、礼儀正しく言わなきゃいけないんだろ?俺は、ヒースリップをモールからはがすために首をつかんだからだと思った。それがバーンズは膝蹴りだって言う。正直言って、もし全部のラックを毎回チェックしたら、ある程度のスピードと激しさで入っていったら、かなりしょっちゅう…膝を入れるつもりなんて全くなかった。このレベルでは大きな代償だってのはわかってる。34歳にもなって、あんなことして楽しもうとは思わない。これが俺のフランス代表での初めてのイエローで、いいタイミングじゃあなかった。キツい。冷静に見ないといけないが、シンビンを受けなきゃいけないようなプレーをしたという罪悪感はない。主審は、ティエリー(デュソトワール。キャプテン)に、わざとだとは思わないが放っておけないって言ってたけど、ヒースリップがちょっと痛がって文句を言うから…」とコメント。

 

 翌日からのファンとメディアのパペ叩きとヒースリップの負傷が公式に発表されたことで、ちょっと弱気になったのか、火曜日になってようやくツイッターで、「あのプレーでヒースリップを負傷させたことを心から謝る。彼に怪我をさせるつもりは全くなかった」と謝罪のメッセージを出すも、最後にハッシュタグで「一部にとっては客観」とつけ、意図したものだと非難する人々に釘を刺すのを忘れなかった。おまけにメッセージはフランス語で、「彼」となっているのを見てもわかるように、ヒースリップに対しての直接の謝罪の言葉ではなく、誰に向かって謝ったのかよくわからないが(フランスサポーターに対してだろう)、翌日に迫っていた規律委員会での印象を何とか良くするためだけに出したものと疑われるのも仕方がない。

 

 パペへの制裁は今日の規律委員会で決まる予定だが、その一方でヒースリップは、「あなたのメッセージに感謝するよ。ラグビーはコンタクトスポーツだから、こういったことは起こる。あなたの謝罪をしっかり受け入れるよ」とわざわざフランス語と英語で返信し、漢を上げている。

 

 ヨーロッパでは、あらゆる面でモラル低下が叫ばれるサッカーと比べて、いまだラグビーというスポーツに対する印象は非常に高いが、高まるラグビー人気は今までなかった層もファンとして取り込み始め、サポーターのマナー低下も囁かれる。お手本を見せるのはまず選手。忘れちゃいけない、「サッカーは野蛮人のやる紳士のゲーム。ラグビーは紳士のする野蛮人のゲーム」だ。

Please reload

  • Wix Facebook page
  • Wix Twitter page

Copyright (c) kosuke hakoyama. All rights reserved.
本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。

bottom of page