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イングランドファン、スコットランドに八つ当たる。

2015/03/26

 イングランド、アイルランド、ウェールズ、フランスの4チームが優勝の可能性を残し、午後いっぱいそれぞれがローマ、エジンバラ、ロンドンで続けて試合をするということで、ヨーロッパのラグビーファンにとっては、まさにスーパーサタデーだった先週土曜日。最終的にはアイルランドが前節まで得失点差でトップに立っていたイングランドを逆転、2年連続の優勝を決めたのだが、アイルランド相手にホームで10−40と大敗し、間接的にイングランドの優勝を妨げることになったスコットランドに対して、イングランドサポーター(ウェールズサポーターもいた)の怒りが爆発。ツイッターでは炎上状態に。

 

 得失点差でイングランドとアイルランドに遅れをとっていたウェールズは、イタリア相手に前半は焦りばかりが目立ったものの、後半はプレッシャーをいい形で解き放ち、41点差をつけ優勝の可能性を残して他会場の試合を待つ。

 

 得失点差では一番有利な立場にいたイングランドだが、トゥイッケナムに迎えるのはフランス。ここしばらく低迷するトリコロールだが、今大会ではここまで最少失点と守備は変わらず堅い。そして、もはや消えたといわれるフレンチフレアーでも、昨年引退したウィルキンソンが「フランス戦だけは何が起こるか分からないからいつも怖かった」と試合前に語っていた通り、イングランドにとってはその予測不能ぶりはいつだって脅威。勝てないまでも、スコットランドに頑張ってもらって可能な限りアイルランドの得失点差を伸ばさないようにしてもらいたいところだったのだが、今大会初めて、堅く陣地を取りカウンターを狙うキッキングラグビーをやめて、逆転優勝のためにジョー・シュミットがレンスターでやっていたような速いテンポでボールを動かす攻撃的なラグビーで点を取りにきたアイルランドの圧力に、スコットランドは我慢しきれずディフェンスが崩壊。

 

「これ、スコットランドは絶対わざとやってるだろ… ♯見下げたやつらだ」

 

「スコットランドで唯一いいものは国歌だけ。それ以外はクソ」

 

と、マレーフィールドでの試合中からイングランドファンのスコットランドバッシングが始まると、昨年9月に行われたスコットランド側が長年求めていた独立を問う住民投票も当然のようにネタにされる始末。

 

「スコットランドは、ただおれ達をいらつかせるためだけにわざと負けてやがる。見ろ、おれ達は選挙までやらせてやって、お前らが残るって決めたのに。放り出すべきだ」

 

「スコットランド独立住民投票をやり直すのにはもう遅すぎる?くそったれ」

 

 試合後には、数年前から議論の的になっているスコットランドシックスネイションズ除外論(イタリアもだけど)が再燃。

 

「スコットランドはイタリア以下!何てプレーだ…アイルランドは勝利のために頑張る必要もなかった…」

 

「正直言って、スコットランドはシックスネイションズから除外されるべき。もっと気骨のあるチームを入れろ。ファック、スコットランド」

 

 マレーフィールドの結果を受け、フランス相手に26点差以上で勝たなければいけなくなったイングランドは、スタンドオフのジョージ・フォードを中心にチーム全体が点を取りにいく意思を見せ、もう何も失うものはないフランスも(フランス国内での代表への期待感は今やゼロ)フィリップ・サンタンドレ就任以来初めて、リスクを背負って自陣からもキックを使わずボールを大きく動かし、真っ向勝負。両チーム合わせて12トライの熱戦で、イングランドは試合終了間際までゴールラインに迫るも、結局アイルランドを逆転するには6点足りず。

 

「他のいくつかの国と比べて、フランス代表のこの試合に臨んだ姿勢とそのプレーを賞賛したい。フランスはフェアプレーだった。彼らは試合をした。これ以上言う必要はないと思う。みんなわかっている。最初から最後まで速いペースのゲームだった。おれたちはいいラグビーをしたし、フランスもいいラグビーをした。フランスはテンポを上げてゲームをつくった。試合を簡単に捨てることもできたのに、観客の目で見ても、彼らの姿勢は素晴らしかった」

 

イングランド代表FBマイク・ブラウンはそうフランスを讃えつつ、それぞれホームゲームにも関わらず、ウェールズとアイルランドに抗うこともなく大量点を献上したイタリアとスコットランドを非難。

 

 ワントライワンゴールで逆転というところまで迫っただけに、イングランドファンにとっては、あと少しだけでもスコットランドが抵抗していればと、試合終了後にその怒りは頂点に。

 

「ここまでくそったれなスコットランドに乾杯!お前らのアンチイングランドぶりは恥だ!イングランドが優勝するよりホームでボロ負けするのを好むんだからな!」

 

「負けた。スコットランドが弱小だから…このクソったれな国をイギリスからはじき出せないのか?」

 

「もしこのシックスネイションズが何かをはっきりさせてくれたのだとすれば、おれは本当に他の国が嫌いだってこと。特にスコットランドが。くそったれ」

 

「スコットランドはアイルランドの優勝のために負けた。イングランド人をいらつかせるために彼らができることはそれだけだ」

 

と、スコットランドにしてみればそこまで言うかというひどい言われよう。だいたい、ただでさえ力の差があるのに、主力に怪我人が続出した今のスコットランドじゃ、今や世界ランキング3位のアイルランド相手にはあれが精一杯なのはイングランドファンだってわかっているはずなのに。

 

 とにもかくにも、この4年間で2つ目のウッデンスプーン(全敗)となってしまったスコットランド。半年後にはワールドカップが控えており、来年のシックスネイションズを考えている余裕なんてないだろうけど、シックスネイションズB優勝チームとの入れ替え戦が現実にならないよう、来年は何とか他チームとの差を詰めて、負け犬脱皮してくれることを祈ろう。

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