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バグパイプを奪われたスコットランド

2015/09/23

 「ワールドカップでのバグパイプ禁止?気違い沙汰だ !! イギリス人もこれ以上はないってところまで落ちたな。スイング・ロー・スウィート・チャリオットも同様に禁止するか」

 

 イングランドラグビーワールドカップ組織委員会が、スコットランドの伝統楽器であり代表のゲームの折には必ず耳にするバグパイプの「イングランド内」のスタジアムへの持ち込みを禁止したことで、スコットランドサポーターが怒り心頭。

 

 選手も当然反応を示し、フッカーのロス・フォードは「人々がスコットランドをイメージする時、思い浮かべるのはバグバイプだ。おれたちの『国器』であり国の音だ。当然ファンにとっても雰囲気は同じではなくなってしまう」と不満を表明。ついには先週、イギリスのスポーツ大臣であるトレイシー・クラウチが、禁止を解くべく大会運営側に直接介入するはめに。

 

 イングランドラグビーワールドカップ組織委員会は「他の観客の邪魔になる」という理由で、ブブゼラ、「大きすぎる帽子」(どんなに緊迫した試合中でも、それをかぶったサポーターの姿がテレビ画面に映る度に見るものを和ませてくれるあの間抜けなウェールズのラッパスイセンのかぶりものはいいのか?)、傘などとならんで、バグパイプを禁止リストに追加。筆者は個人的にはラグビーのスタジアムでのブラスバンド系の鳴りものにはあまり肯定的ではないが(フランスではイエローアーミーの名で知られるクレルモンのサポーターが有名)、ブブゼラとバグパイプを同じに扱うというのは明らかなミスマッチ。ラグビーを愛する人間で、あの美しく神秘的な音色に酔いこそすれ、「騒音」と感じるファンがいるとは思えない。

 

 何ともナンセンスなこの仕打ち、実はイギリス政府側が、昨年のスコットランド独立国民投票でもみられたように近年発言力を高めているスコットランド国民党の更なる勢力拡大を押さえ込むために、スコットランドの象徴であり、民族感情を高揚させるバグパイプをグラウンドから追い出したというのが真相との見方も強い。

 

 ラグビーの醍醐味の一つは異なった文化が出会い尊重し合うこと。一刻も早くあの聞き慣れた音色がスタジアムに戻ってくることを願う。

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