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トゥエルブトゥリーズ、自分を殴った相手選手へのレッドカードを阻止しようと抗議する

2015/11/11

 母国開催のワールドカップで予選プール敗退。さんざん話題になったサム・バージェスは逃げるようにリーグラグビーにとんぼ返りし、数日前には、ワールドカップ合宿中に代表チームのバゲージマスターの株式投資の誘いに乗った数人の代表選手が大会開幕2日前までに10万ポンド近くを失っていたことが判明したばかり。そして今日、2020年まで契約を残していたスチュアート・ランカスターの辞任がついに発表と、踏んだり蹴ったりのイングランドラグビー界。そんな中、先週末のプレミアシップでファンの荒んだ心を少しだけ癒してくれるシーンが。

 

 11月8日、コベントリーのリコーアリーナで行われたワスプス対グロスター、試合終了まで残り7分での出来事。試合は23−3でワスプスリード。グロスターは45分にレッドカードでウイングのハライフォヌアが退場し14人でのゲーム。グロスターのビリー・トゥエルブトゥリーズがワスプスプロップロレンツォ・チッタディーニにタックルを受けてラックに。相手側に倒れ込んだチッタディーニがノットロールアウェイの反則を取られるが、チッタディーニがトゥエルブトゥリーズを押しのけるのが見え、トゥエルブトゥリーズもチッタディーニのジャージを掴んでいたように見える。

 

 TMOの結果、チッタディーニがラック内でトゥエルブトゥリーズの「顔をグーで殴った」として、レッドカードを与えるべくチッタディーニを呼びつつワスプス選手側に歩き始める主審のテンペストさん。それを聞いていたグロスターキャプテンでもあるトゥエルブトゥリーズ、テンペストさんに歩み寄ると「何にもなかったよ。ただのブレイクダウンだ」と、ゲーム中にあるちょっとしたアクシデントだとしてチッタディーニを擁護。歩みを止めないテンペストさんになおも食い下がるが、レフェリーにも自分の仕事がある。最後は「しーっ !!」と一喝されて、被害者兼グロスターキャプテンの説得もむなしく、ワスプスのチッタディーニは敢え無く退場となってしまった(最終的に1週間の出場停止処分)。

 

「ビリーが来て、何にもなかったって言ったんだ。レフェリーはチェックするためにすでにTMOをコールしていたから、彼は何もできなかった。でも、ビリーの素晴らしいスポーツマンシップだったし、これがプレミアシップの特質だよ」

 

 イングランド代表のチームメートで、この日はワスプスのキャプテンを務めたジェームズ・ハスケルも、そう言って試合後にトゥエルブトゥリーズの振る舞いを賞賛。

 

「ビリーは素晴らしい男だよ。本当に正直でオープンだ。誰もが試合の最中には熱くなって我を忘れてしまうことがあるけど、ラグビーのいいところは、それでも高潔さと連帯感を保ち続けることだ」

 

 創成期には、審判はおらず互いの信頼のもとに両チームのキャプテンがジャッジをしていたラグビーの歴史を思い出させてくれるエピソード。こういう場面が見られる限り、イングランドラグビーは死なない。

(フェイスブックページまたはツイッターアカウントから「相手へのレッドにご不満なトゥエルブトゥリーズ」のビデオが見られます)

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